후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 185,353자 · 371화면
その日の夕方。
信長は、森、佐々、前田などの旗本に、わずか三百の手勢をつれたのみで、道もない山間や渓谷を伝い、熊川から朽木谷方面へ、夜どおし逃げた。
幾たびか、門徒の僧兵や、土賊に襲撃され、二日ふた晩ほどは、まったく飲みも喰いも眠りもしなかった。――そして四日目の夕方ようやく、京都へ帰りついたが、何しろほとんどの者が、半病人のように疲れはてていたという。
が、まだそれらの人々は、いい方であった。もっとも悲壮だったのは、自分から殿軍をひきうけて、味方の大軍が、退口を取った後も、わずかな手勢と共に、金ヶ崎の孤塁に残った藤吉郎であった。
さすが、その時ばかりは、日頃から彼の立身をそねんで、詭弁家であるとか、成上がり者とか、陰口ばかりいっていた同僚の将も、
「たのむぞ」
「おぬしこそは、織田家の柱石だ。真の武士だ」
などと、それぞれ心から訣別の辞をのべに来て、銃器、弾薬、食糧などを、みな彼の陣へ、与えて行った。墓場へ花や供物を捧げるように、置いて行ったのであった。
「二度とこの世では――」
去る者も、残る者も、真実そう思ったことであろう。そして、信長が朽木越えした夜の翌朝から、白昼にかけて、柴田勝家、坂井右近、蜂屋兵庫、池田勝三郎などの面々、九万の味方は、徐々に退口を落ちて行った。