후리가나로 읽는 일본 고전
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にちにちへいあん
日日平安
山本 周五郎
山本 周五郎의 日日平安(にちにちへいあん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 28,297자 · 56화면
約半刻ばかりのち、裏手と思われるあたりで、馬を曳き出すけはいや、多数の人々のたち騒ぐ物音が聞えた。馬もかなりな頭数らしく、いななきや蹄の音が右往左往するようであった。菅田平野はじっと横になっていた。廊下を足音が近づいて来て、この部屋の襖をあける者があった。それでも菅田平野は動かなかった、旅嚢を枕にして、じっと眠ったふりをしていた。襖はすぐに閉り、足音は廊下の向うへいった。
やがて騎馬の者たちの出てゆくのが聞えた。重おもしい蹄の音が一隊になって、この屋敷の外を右から左へ廻り、そうしてたちまちのうちに遠く、遙かに遠く消え去った。――菅田平野は起きあがり、包をあけて油綿を出した。彼は用心ぶかくやった、燧石は戸納の中で打ち、油綿をよくほぐして、両端に火をつけた。火はなかなか燃えつかなかったが、油紙へつけてやると燃えついた。それを上段の蒲団の上にのせ、さらに、戸納の天床の板を外して斜めにし、その板から天床へ燃え移るようにした。油紙は景気よく焔をあげ、油綿もくすぶりながら、赤い焔の舌をちろちろとひろげた。戸納の中はたちまち油臭い煙で充満したが、その煙は天床の(板を外した)穴へすいすいと吸いこまれてゆく。