후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
にちにちへいあん
日日平安
山本 周五郎
山本 周五郎의 日日平安(にちにちへいあん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 28,297자 · 56화면
黒藤邸を閉鎖して、家士小者には禁足を命じた。仲島、前林らの居宅にもそれぞれ手配をし、三老職は城中へ護送した。こうして、さて陸田精兵衛らが屋敷へひきあげようとしたとき、みんなは菅田平野のいないことに気がついた。手分けをして邸内を捜してみたが、彼はどこにもいなかった。
「どうしたんだ」十郎太はあっけにとられて云った、「――いったいこれはどうしたことだ」
十郎太は茫然と、雨空の向うへ眼をやった。
菅田平野は脱走したのであった。
彼は雨の中をしょんぼりと歩いていた。江戸へゆく道とは反対の方向へ向って、――彼は黒藤邸の庭で(いちど捨てた)あのやぶれ傘をさしていた。片方の手には泥まみれで空っぽの旅嚢をさげ、足にはやはり黒藤邸でつっかけて来た、ちびた古下駄をはいていた。
彼は疲れているうえに、ひどく空腹で、おまけに眠かった。
「これは虚栄心だかもしれない」歩きながら彼はつぶやく、「――本当は虚栄心か、偽善かもしれない、おれはそうではないと思う、おれはそんなふうには思いたくない、あの燧袋、泥まみれの燧袋を拾って返したとき、こんな気持になったのだ、あれを井坂に返したとき、井坂がいぶかしそうな顔をして、二本の指で摘んで受取ったとき、おれの中でなにかが起こった、なにかが、……ちょっと口には云えないが、ともかく逃げだすのは今だ、