후리가나로 읽는 일본 고전
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
島崎 藤村의 旧主人・芽生(きゅうしゅじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 149,813자 · 302화면
寒い方からやって来たお新は暖国らしい空気を楽しそうに呼吸した。彼女は山本さんと一緒に、明るい日あたりを眺めながら、停車場前の旅舎(やどや)の方へ歩いて行った。
優美なお新の風俗は人の眼を引き易(やす)かった。湯治場行の客らしい人達の中には二人の方を振返って、私語(ささや)き合っているものも有った。夫婦らしく見えるということが、山本さんの顔をすこし紅くさせた。
旅舎へ行って、熱海行の船を待っている間にも、女中がこんなことを言った。
「奥さん、船の切符を買わせましょうですか」
山本さんは笑って、「これは奥さんじゃないよ――妹だよ」
お新も笑った。この笑が反って女中を半信半疑にさせた。女中は、よくある客の戯れと思うかして、「御串談(ごじょうだん)ばかり」と眼で言わせて、帯の間から巾着(きんちゃく)を取出そうとするお新の様子をじろじろ眺めた。
山本さんはお新に金を費わせまいとした。彼女が出す前に、彼は上等の切符の代を女中の前に置いた。
「兄さん、それじゃ反(かえ)って困りますわ」
とお新が言った。
山本さんは聞入れなかった。汽車代から何からお新の分まで、一切彼の方で持った。