후리가나로 읽는 일본 고전
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
島崎 藤村의 旧主人・芽生(きゅうしゅじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 149,813자 · 302화면
それは本紅の胴裏を附けた変縞の糸織で、八つ口の開いた女物に袖を通させて、折込んだ広襟を後から直してやれば、優形な色白の歯医者には似合って見えました。奥様は左からも右からも眺めて、恍惚とした目付をなさりながら、
「お定、よく御覧よ。まあ、それでも御似合なさること。まるで桜井さんは女のように御見えなさるんだもの」
と仰って、私の手を握りしめるのです。
私は歯医者から美しい帯上を頂きました。
奥様の御差図で、葡萄酒を胡燵の側に運びまして、玻璃盞がわりには京焼の茶呑茶椀を上げました。静な上に暖で、それは欺されたような、夢心地のする陽気。年の内とは言いながら梅も咲鶯も鳴くかと思われる程。猫まで浮れて出て行きました。私は次の間に退って、春の夜の夢のような恋の御物語に聞惚れて、唐紙の隙間から覗きますと、花やかな洋燈の光に映る奥様の夜の御顔は、その晩位御美しく見えたことは有ませんでした。奥様があの艶を帯った目を細くなすって葡萄酒を召上るさまも、歯医者が例の細い白い手を振って楽しそうに笑うさまも、よく見えました。御物語も深くなるにつけ、昨日の御心配も、明日の御煩悶も、すっかり忘れて御了いなすって、御二人の口唇には香油を塗りましたよう、それからそれへと御話が滑みました。