후리가나로 읽는 일본 고전
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
山本 周五郎의 春いくたび(はるいくたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 70,094자 · 142화면
お糸はその声をたよりに走った。わからなくなるとまた梟の鳴声をまねた、――そんなことを三、四回くりかえすうちに、いつか櫟林のなかへ入ったと思うと、
「――お糸か」
と声をかけながら、一人の男が少女のまえにあらわれた。
「あたしです」
お糸はあえいでいた。
「見はられていますからすぐかえります、――後援隊は三百人もう二時間もすると着くそうです、そして夜中には黒川へ向けて進軍するそうです」
「よし、ではやはり屏風岩がやくにたつ」
「火薬はもうつめてあるのですか」
「五十貫ずつ五か所だ、――松火一本なげつければどかぁんといく、五百や七百の人数はいっぺんに生埋めさ」
「ではこれで帰ります」
「もう少しだ、あやしまれるな」
お糸は答えもせずに走りだした。
はたして! 彼女は土生一族の者であったのだ。――石岡の疑った通り、官軍の動きをさぐるために、わざとしばられて残っていたのである、しかも十五の少女の身で!
お糸は土生一族の血をうけて生まれた。
この梟谷は土生一族のものである。何百年ものあいだ一歩も他人におかされることなしに守ってきた先祖からつたわっている土地である。――庄内の殿様以外には、なに者といえども侵入することは許されないのだ。