후리가나로 읽는 일본 고전
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
山本 周五郎의 春いくたび(はるいくたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 70,094자 · 142화면
「うむ――、小気味よくやりおるわ」
元親はひくくうめくと、馬腹をけって若武者の方へかけつけた。
「おお! そちは伝九郎」
それはまさに別部伝九郎、あの『逃げ足の伝九』であった。元親は感嘆の声をあげ、
「やりおったな伝九!」
と呼びかける。伝九郎はふりかえってにっこり笑うと、走りよる敵兵を一刀に斬りふせて、さっと馬首をめぐらす。
「殿――戦いは勝ちでござりますぞ」
大音にさけんで、そのまままた敵軍の中へ突っこんでいった。元親はそれを見おくりながら、会心の微笑とともにつぶやいたのである。
「はたして伝九郎、ただものならずとは思ったが、かくまでの人物とは知らなかった、――今日の一戦、彼伝九郎のために勝利を得たも同様じゃ、おお、やりおるやりおる」
元親の目にはいつか涙さえうかんでいた。
戦いは勝った。敵将三好笑厳は敗戦と見るよりはやく、船にのって海上へにげたので、その首をあげることはできなかったが、もはや、阿波一国、三好党の一兵をもとどめぬ大勝利である。――そしてこの一戦が元親の武運をうごかぬものにした。阿波を手におさめた長曾我部は、つづいて讃岐の三好隼人をやぶり、さらに伊予に入って河野党を討ち、ついに四国全島をしたがえたのである。