후리가나로 읽는 일본 고전
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
山本 周五郎의 春いくたび(はるいくたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 70,094자 · 142화면
伝四郎兄妹
一
一
若菜はせっせと矢竹をけずっていた。
そのまえの年、天正二年の冬からとなりの国と戦争をしているので、この肥前(長崎県)大村城のるすをまもるものたちは、鎧甲のつくろいをしたり、武者草鞋や弓矢をこしらえたり、女も子供も手のあるかぎりは戦に必要な物をつくるのにいそがしかった。
――おや?
若菜はふと手をとめた。
道の方で子供の泣き声がする、それがどうやら妹の千浪の声らしい。
「若菜、泣いているのは千浪ではないか」
となりの部屋で母がいった。
「ちょっと見てきておやり」
「はい、――」
若菜はすぐに立ちあがった。
表へ出てみると、はたして妹の千浪が泣きながら帰ってくるところだった。いそいでかけよろうとして気がつくと、着物がまるでどろだらけになっている。
「まあ千浪、どうしたの」
「――お姉さま」
姉の姿をみつけると、千浪はもっと大きな声で泣きだした。
「どうしたの千浪、もう七つにもなるのに、ころんだくらいでそんなに泣くひとがありますか、戦場へ行っているお兄さまのことを考えてごらんなさい」
「――ころんだのじゃないわ」
「ではどうしたの、こんなにどろだらけになって」
「みんながぶっつけたのよ」