후리가나로 읽는 일본 고전
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
山本 周五郎의 春いくたび(はるいくたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 70,094자 · 142화면
「――父さま」
おゆきはまだ涙にぬれている眼をあげて、けれど唇には静かな微笑を見せながらいった。
「わたくし、あの若いお侍さまのようすを見たときに、このかたは悪いことをなすっているのではないとすぐに思いました」
「どうしてそれがわかる?」
「自分で悪いことをするような人は、他人をも疑うのが普通でしょう? あのかたはすこしもおゆきを疑わず、命にかえても守らなければならぬというほどたいせつなお品を、見も知らぬわたくしにお預けなさいました。自分は死んでもこの品は渡せないという御立派な態度は、もし父さまがごらんになったとしても、きっとおゆきと同じようになすったと存じますわ」
久右衛門は黙ってうなずいた。――由緒ある郷士の娘として、おゆきはつよさだけでなく、ものをみる正しい眼も持っていた。
「それでよく分かった。けれど……預けた本人が谷底へ落ちて死んでしまったとなると、その品をおまえはどうするつもりなのか。やがて新庄藩の者がまたとりもどしに来ると思うが」
「新庄まで行って来るには、馬で走っても明日の午まではかかりますわ。わたくしそのあいだに湯沢へ行ってまいります」
おゆきは若い武士の残した言葉を思出しながらいった。