후리가나로 읽는 일본 고전
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はる
春
岡本 かの子
岡本 かの子의 春(はる)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 23,864자 · 48화면
でも、長い月日のうちに、加奈子はいつかそれにも馴らされて行った。そして、その時々の局面を打開して行く術さえ覚えた。加奈子は、飽き安いこの病症の者に新しい感触を与えるように、京子を時々違った医者や病院へ連れて行った。京子の病症が不治のものにしても、この上重らない用心のため、時々変った医者にも診て貰って置き度かった。
加奈子は近頃或人から聞いた、東京での名精神病院へ京子を連れて行くため家を出た。山の手電車を降りると自動車を雇ったが、京子は絶えず眼を気にして往来を視ない。外光を厭って黒眼鏡を掛け、眼を伏せて膝の上の手ばかり見つめて居る。京子の片手は何かに怖え慄えて加奈子の膝の上に置かれた。加奈子はその手を見詰めて居るうちに、二十年前の二人の少女時代の或る場面を想い出した。京子が此の手の指で、薄ら埃の掛っている黒塗りのピアノの蓋を明けたことを想い出した。
――ベートーベンの曲は、私、自分で弾いて居ても圧迫を感じるのよ。
京子には、より情緒的なショパンの曲が適していた。鋭いリストの曲も、京子は時々は好んで弾いた。京子のピアノは余り達者ではないが、非常に魅力があった。