후리가나로 읽는 일본 고전
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くらがりのおとまつ
暗がりの乙松
山本 周五郎
山本 周五郎의 暗がりの乙松(くらがりのおとまつ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,992자 · 25화면
小首を捻る耳へ、嘲るように唄は続いた。よく聞けば箱根から先には珍しい薗八節である、何ともいえぬ渋い節回し、
※(歌記号、1-3-28)……様を待つ夜の窓の笹
露のけはいもあさましや
麻の葉染めの小掻巻――
こっちが部屋をぬけだすのと同時に、符牒を合せたように唄いだす相手。こいつぁ唯者でないぞと腕組みをした三次、
「まてよ。薗八節で文句はいつもきりぎりす、薗八節できりぎりす。どこかで聞いたことのある文句だぞ――」
しばらくじっと考えていたが、不意に、
「あっ、暗がりの乙松だ」
と膝を叩いた、「あいつだ、どうして今まで気がつかなかったろう、江戸であれほど評判を聞いていたのに――そうか、こんな処へふけ込んでいたのか」
暗がりの乙松といえば、天保三年八月お仕置になった鼠小僧次郎吉の二代目とまでいわれた大盗人である。鼠小僧が刑殺されて、ほっと息をぬいた諸侯や富豪の邸を狙っては、眼にも止まらぬ荒仕事をする有名な賊で、何十人という捕手に追われながら、いつも――薗八節できりぎりすを良い声に唄い残して逃げるというのが、奇を好む江戸っ児にやんやと喝采されていた。