후리가나로 읽는 일본 고전
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さくらのみのじゅくするとき
桜の実の熟する時
島崎 藤村
島崎 藤村의 桜の実の熟する時(さくらのみのじゅくするとき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 111,569자 · 222화면
やがて聖書翻訳の大事業に与って力があると言われているその教会の牧師が説教台のところへ進んで来た。訳した人によって、訳された聖書が読まれる頃は、会堂の内は聴衆で一ぱいに成った。勝子等はもう捨吉の居る所から見えなかった。あの旧の高輪の学窓のチャペルで、夏期学校で、あるいはその他の説教の会で、捨吉には既に親しみのある半分吃ったような声がポツリポツリと牧師の口から泄れて来た。
しばらく捨吉は一切を忘れて窓際に腰掛けていた。蠅の比喩なぞが牧師によって説出された。薄暗い夕暮時の窓の光をめがけては飛びかう小さな虫の想像。無限に対する人生の帰趣。説教は次第に高調に達して行った。それを聞いていると、捨吉の心は捉えどころの無いような牧師の言葉の方へ行ったり、自分の想像する世界の方へ行ったりした。捨吉に言わせると、彼自身の若い信仰は詩と宗教の幼稚な心持の混じ合ったようなもので、大人の徹した信仰の境地からは遠いものだった。彼の基督はあまりに詩的な人格の幻影で、そこが彼自身にも物足りなかった。
丁度その日曜は聖餐の日に当っていた。骨の折れた説教の後で、葡萄酒を盛った銀のコップ、食麺麭の片を容れた皿が、信徒等の間にあちこちと持廻られた、葡萄酒はやがて基督の血、麺麭はやがて基督の肉だ。