후리가나로 읽는 일본 고전
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
梅崎 春生의 桜島・日の果て・幻化(さくらじま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 169,810자 · 345화면
此の感じは厭であった。自ら鋭い眼付になる。盆地の彼方に今大きな日が没して行くらしく、梢の間に光が蒼然と衰えて行くようだった。道は落葉が層をなし、風の為に葉は次々に梢から散り降りた。前かがみに歩く宇治の後から、高城は声をかけた。
「花田中尉殿に今日中に追いつくのですか」
「それは判らん。追いつけたら追いつく」
暫く経って思い余ったような高城の声があった。
「宇治中尉殿」
宇治はふり返った。五六歩遅れていた高城が足早に追いすがった。
「花田中尉殿にお逢いになったら――」泣き出しそうな表情に見えた。「隊長の命令を、果たしていただけませんか?」
「殺すのか?」
「そうです」
「何故殺すんだ」
高城は唇を噛んだ。
「そうすれば、原隊に戻れます」
幼児のようなひとつの単純な表情がそこにあった。ふと胸打たれ、宇治は思わず涙が流れそうな気がした。宇治は顔を光から背け、黙って歩き出した。
逃亡のもつ切迫感が、宇治の背をするどく脅かしていたとは言え、直接肉体に来る感じとしては、ただ何となく目的もなく果て知らぬ密林に歩をすすめているに過ぎなかった。しかし此の事が自分を救うことであることだけは頭の中で彼は判っているつもりであった。