후리가나로 읽는 일본 고전
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
梅崎 春生의 桜島・日の果て・幻化(さくらじま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 169,810자 · 345화면
三
私はちらと奥の間に目を走らせたら、あけはなされた襖の影に泣き伏した女の後姿が見えた。華美な衣服の模様が目に沁みた。私は何故とも無く目を閉じた。そして、そろそろと廊下を歩き出した。汚ない玄関を三人が出ようとしたら、そこらの物陰から、小さな女中がまたちょろちょろと現われて板の間に膝をついた。
「天願様。おでかけでございますか。御飯の支度が出来ておりますけれど」
何処を見ているのか判らないようなはるかな目付をして、切口上じみた口調で言った。何か無理をしているなとすぐ感じさせる態度であった。主人の娘が死んで悲しいわけではないけれど、気が動転してどうしていいのか判らないのだろうと私は思った。
「夕飯は食べない」と天願氏が叱り付けるように言った。「今日はよそで食べることにする」
ぞろぞろと露地の暗がりを踏んで明るい本郷通りの方に私達は出て行った。
三
本郷通りにある田村というがらんとした喫茶店の奥の方の卓に三人がすわって珈琲を啜った。
天願氏は琉球の生れで、矢張り帝大を出た癖に毎日ぶらぶら遊んでいる。三十を越したやせた顔をしているが、生活費はどこから入るのか判らない。