후리가나로 읽는 일본 고전
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
梅崎 春生의 桜島・日の果て・幻化(さくらじま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 169,810자 · 345화면
人間の心の奥底にある極度に非情なものを、育てて行き磨いて行き、それを自我にまで拡げて行ったに違いない。やっと兵曹長となり、一応の余裕が出来て、あたりを見廻した時、ひそかに育てて来た復讐の牙は、実は虚しいものに擬せられてあったことに気付いたに違いないのだ。彼は牙を、自分自身に突き刺すより仕方がなかったのだ。彼の奇妙な性格も、異常な動作も、そして彼にとって唯一の世界である海軍が、沖縄の戦終り、既に潰滅したことによるいらいらした心情も、おそらくは皆そこにあるのだ。通信科の兵隊を集めての故もない制裁の場における、彼の偏執的な挙動を、私は瞼の裏にまざまざと思い浮べていた。それは、二三日前のことであった――
赤痢が流行していた。その日、暗号の兵隊が一人、野生の梨をもいで食べ、そして赤痢の疑いで霧島病院に送られた。梨を食うことは、堅く軍医の禁ずるところであった。医務室でその兵と別れ、居住区に戻り夕食を私は食べていた。湾内で獲れるらしい細長い小さな魚の煮付を噛んでいたとき、私の背後を通り抜け、そして振り返った。吉良兵曹長であった。
「村上兵曹、山下はどうした」
「霧島行きに決まりました」