후리가나로 읽는 일본 고전
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
梅崎 春生의 桜島・日の果て・幻化(さくらじま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 169,810자 · 345화면
体のこなしが奇妙なところを見ると、相当酔いが廻っているなと思って眺めていたら、ひょろひょろと立ち上ってこちらにやって来た。大きな徳利と盃を持っている。天願氏の前に坐って盃を指して、あの方が、と言った。盃をわたして呉れと言付かったのだろう。天願氏は泥竜館に七八年も居るので、主のような気がするから一応仁義をつくして置かねばならぬのだろう。向う側で、盃の男が天願氏に頭を下げた。おばさんが酒をつぎながら言った。
「あらあら、こちらが天願様でいらっしゃいますか。いろいろ、お世話になりまして、こちらさまには、いつも、なんでございますから、死んだ娘も、よく申して居りましたですのよ」
何を言っているんだかさっぱり判らない。
「お国はずいぶん遠くだそうでございますわね。あたくしも一度は参りたい参りたいと思っておりますんですけれど」
天願氏は黙って盃の酒を飲んでいる。何と応答していいのか判らないようにも見えたし、酔っぱらって面倒臭いようにも見えた。おばさんのしゃべるのを聞きながら目を閉じたり開いたりしている。
不思議な悲哀が私の胸をかすめた。泥竜館の違った部屋では、うすらわらいを浮べた死骸を取り囲んで、冥福をいのり残された身の不幸を悲しんでいる人達が何人かいるのである。