후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
梅崎 春生의 桜島・日の果て・幻化(さくらじま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 169,810자 · 345화면
酒のちょうしがもう八九本も私の前に並んでいる。飲んでいるうちに、昼間弱くなっていた風がまた強くなって来たと見えて、表の提灯が激しくふらふら揺れるのが硝子戸にうつった。そして硝子戸ががたがたと鳴った。風が出て来たわねえと女が眉をひそめた。
いくら飲んでも、ある程度以上に酔わないのが不思議であった。今日は朝から一杯の御飯も食べていなかったが、食欲は全くなかった。十二時頃、外套のばら銭を台の上にありったけさらけ出して私は蹌踉として風の巷によろめき出た。
三丁目の線路を横切り、大学の塀に沿って赤門の前まで来て私は立ち止った。本郷通りにはもはや人影はなくて、屋台店が点々と灯をつらねながら、蓬莱町の方に伸びていた。屋台にすらも人の気配が更になかった。前にのめりそうな気持をぐっとこらえて、私は人影のない巷を見わたした。
電線をふるわせて風が吹いて、赤門前に散らばった数知れぬ銀杏の落葉が一せいにがさがさと奔った。恐しい速力で左へ右へと動き廻る。数千匹の黄蟹が何者かに追われて必死に逃げまわるように、私の酔眼にうつって来た。今宵は蟹のお祭りだ。今夜は風の宴だ。遁走する蟹の大群の後方から、風がひょうひょうと音立てて吹きつけた。