후리가나로 읽는 일본 고전
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
梅崎 春生의 桜島・日の果て・幻化(さくらじま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 169,810자 · 345화면
何も言わなかった。そのままくずれるように腰をおろした。やせた頬のあたりに、私は、明かに涙の玉が流れ落ちるのをはっきり見た。私は兵の方にむきなおった。
「よし。すぐ暗号室に行く。お前は先に行け」
私は卓をはなれた。興奮のため、足がよろめくようであった。解明出来ぬほどの複雑な思念が、胸一ぱいに拡がっては消えた。上衣を掛けた寝台の方に歩きかけながら、私は影のようなものを背後に感じて振り返った。
乏しい電灯の光の下、木目の荒れた卓を前にし、吉良兵曹長は軍刀を支えたまま、虚ろな眼を凝然と壁にそそいでいた。卓の上には湯呑みが空のまま、しんと静まりかえっていた。奥の送信機室は、そのまま薄暗がりに消えていた。
私はむきなおり、寝台の所に来た。上衣を着ようと、取りおろした。何か得体の知れぬ、不思議なものが、再び私の背に迫るような気がした。思わず振り返った。
先刻の姿勢のまま、吉良兵曹長は動かなかった。天井を走る電線、卓上の湯呑み、うす汚れた壁。何もかも先刻の風景と変らなかった。私は上衣を肩にかけ、出口の方に歩き出そうとした。手を通し、ぼたんを一つ一つかけながら、異常な気配が突然私の胸をおびやかすのを感じた。