후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 112,073자 · 223화면
そんな人だったのか、いつも凛として、潔癖で、口かずの少ない丹三郎と、そんな文を付ける彼とは、まったく人間が違うように思え、自分の大切にし、尊敬していた人を無法に汚された、という気がしたのであった。
――でも、これでもう済んでしまった。宇乃は眼をつむったまま、自分をなだめるように頷いた。どうぞあの方が、必要以上に恥じたり、苦しんだりなさらないように。
杉戸の向うで甲斐の声がした。宇乃は「はい」と答えて浴衣を取り、立っていって杉戸をあけた。湯気に包まれて、甲斐がうしろ向きに立っていた。宇乃はその逞しい肩へ浴衣を着せかけ、甲斐がこちらへ出て来ると、杉戸を閉めてから、着せかけた浴衣で甲斐の躯の汗を拭いた。甲斐は胸のほうは自分で拭いた。浴衣を替えて拭くときにも、宇乃には傷痕を見せなかった。
部屋へ戻ると、もう灯がいれてあり、館から片倉隼人が来ていた。
「小野の伊東さまを御案内いたしました」
「新左衛門どのか」
「はあ、この青根へ保養に来られる途中、船岡へおたちよりなされましたそうで」
甲斐は「薬湯を」と宇乃に云い、火桶へ手をかざした。
伊東新左衛門は桃生郡小野、二千石あまりの館主で、年は三十二歳、生れつき多病のため子供がなく、数年まえ、古内主膳の子で采女というのを養子にした。