후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 112,073자 · 223화면
そして、与五兵衛の眼から逃げるように、引戸をあけて、出ていった。
夜の明けるまえ、――甲斐は細谷という部落の山の中で、横になっていた。
そこは西北にひらけた山の中腹で、うしろは枯木林の山につづき、前は段さがりに低くなって、田畑の向うに北郷村の山の迫っているのが見える。甲斐は藪蔭を選んで、斜面のほうを頭にし、寝袋の中にすっぽりと躯を入れ、食糧の包みを枕にして、じっと眼をつむっていた。その寝袋は律が考案し、自分で縫いあげた野宿用のもので、寒さも充分ふせげるし、雪ならもちろん、少しくらいの雨にも、濡れずに寝ることができた。
うしろの斜面で、木の枝から雪の落ちる音がした。甲斐は頭をあげ、寝袋から顔だけ出して、あたりのようすに注意をくばった。
すぐ眼の前に藪がかぶさっていて、雪で撓った枝葉のあいだから、細い笹の幹がぼんやりと見え、つい鼻のさきで、新らしい雪が匂った。枝から落ちる雪の音は、遠く近く、断続して聞えるが、甲斐の予期したもののけはいは、感じられなかった。
「聞きちがいだったな」と彼は呟いた。
猟小屋をおり、谷地をぬけて来るとき、三度ばかり火繩の匂いを嗅いだ。