후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 148,519자 · 296화면
好ましい住居、好ましく着るよろこび、喰べたり飲んだりするよろこび、人に愛されたり、尊敬されたりするよろこび。――また、自分に才能を認め、自分の為したことについてのよろこび、と甲斐はなおつづけた。生きることには、たしかに多くのよろこびがある。けれども、あらゆる「よろこび」は短い、それはすぐに消え去ってしまう。それはつかのま、われわれを満足させるが、驚くほど早く消え去り、そして、必ずあとに苦しみと、悔恨をのこす。
人は「つかのまの」そして頼みがたいよろこびの代りに、絶えまのない努力や、苦しみや悲しみを背負い、それらに耐えながら、やがて、すべてが「空しい」ということに気がつくのだ。
――出家をするがいい、坊。
と甲斐は心のなかで云った。生活や人間関係の煩らわしさをすてて、信仰にうちこむがいい、仏門にも平安だけがあるとは思えないが、信仰にうちこむことができれば、おそらく、たぶん。
甲斐の心の呟きはそこで止まった。仏門にはいり信仰にうちこむことができれば救いがある、彼はそう云うつもりであった。眠っている幼児を、心のなかで慰めようとしたのだ。誰に聞かれるわけでもないのだが、やはりそう云いきることはできなかった。