후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 148,519자 · 296화면
二人の訪問者は、膝の前に帳面ようの物を置いて、坐っていた。渡辺はかれらを見たが、二人のようすに変ったところはなかった。
「――御苦労」と云って渡辺は坐った。
「夜分にあがりまして」と渡辺金兵衛が云った。そして七兵衛と共に両手をついて、低く辞儀をした。
渡辺は袋を膝の上に置いた。低く辞儀をした二人の右手は、それぞれの刀をつかんだ。
渡辺は袋の口の紐をゆるめ、中から印鑑を出そうとした。そのとき金兵衛が片膝立ちになり、刀をすばやく取り直して、抜き打ちに渡辺へ斬りつけた。刀は渡辺の右の肩を斬った。
「なにをする」
渡辺は腰の脇差へ手をかけながら立った。その手には印鑑の袋が絡まっていた。袋の口の紐が指に絡まっていたのである、――渡辺が立ったとき、七兵衛が左から突を入れた。渡辺はとっさに脇差を抜いて横に払った。七兵衛の刀は渡辺の腰を刺し、渡辺の刀は七兵衛の肩を斬った。
「なんのためだ」と渡辺が叫んだ。
そのとき右から、金兵衛が踏み込んだ。そして、腰を刺されて体の崩れた渡辺の脾腹を十分に斬った。渡辺は襖へよろけかかり、襖といっしょに次の間へ転げこんだ。金兵衛は追っていって、もう一刀、頸から胸へかけて斬った。