후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 148,519자 · 296화면
住居は小者長屋の近くにあった。姉弟が掃除井戸のところまでいったとき、向うから走って来た者があった。足袋はだしだったので、足音が聞えず、宇乃がそうと気づいて、よけようとしたとき、激しく突当られてよろめいた。
「お姉さま」と虎之助が叫んで、姉にしがみついた。
相手もびっくりしたらしい、脇のほうへよけながら、かすれた声で云った。
「誰だ、――」
宇乃はその声を知っていた。それは宮本又市の弟で、十六歳になる新八の声であった。宇乃は虎之助を抱きよせながら云った。
「わたくしと弟ですの」
「宇乃さんか」新八は喘いで、宇乃のほうへ近よった。
「宇乃さん、貴女の家へゆくところだ」
「わたくしも」
「えっ、貴女も――」
新八が荒い息をした。宇乃が弟といっしょに出て来たことで、彼には事情がわかったらしい。新八は絶望したように云った。
「ではだめだ、外へ出よう」
「外へですって」
「大変なことが起こるらしい、兄は畑さんに知らせて、それから浜屋敷の渡辺さんのところへゆけと云った」
「わたくし弟といっしょですの」
「不浄門から出よう」
宇乃は弟をひきよせた。
「さあ虎之助さん、あたしに負ぶさるのよ」