후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 148,519자 · 296화면
世間の米
世間の米
おみやは、花川戸から仲町の通りへ出たところで、頭巾をかぶったまま、すばやく左右を眺めまわした。着物も帯も黒っぽい、地味なものだし、頭巾で顔を隠し、小さな包みを抱えた手に、数珠をかけている姿は、若い後家といった恰好にみえた。
午前の十時ころ、――仲町の通りは、浅草寺へ参詣する人で、かなり賑わっていた。おみやは知った人はいないかと、左右に注意しながら、大川橋のほうへ曲ったが、そのとき、向うから来る、旅姿の若侍を見て、どきっとしたように立停った。
侍はごく若かった。笠をかぶっているので、年齢はよくわからないが、その顔だちや、骨ぼそな躯つきで、まだ少年だということが察しられた。
その若侍は埃まみれであった。肩から埃にまみれ、草鞋をはいた足は泥だらけで、袴の裾にも、乾いた泥のはねがいっぱい付いていた。
「もし、あなた」とおみやが呼びかけた。
侍はびっくりした。こちらが驚くほどびっくりして、顔色の変るのがみえた。彼は棒立ちになり、ついで逃げようとした。おみやは追いすがりながら頭巾をとった。
「もし、待って下さいな」とおみやは云った、「あなた、宮本さまの新さんでしょう、あたしですよ」