후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 178,724자 · 355화면
右血書を以て謹んでお願いいたします。
昭和七年六月二十七日
次郎は、年月日を書いたあと、すぐその下に自分の姓名を書こうとしたが、それは思いとまった。もし多数の生徒たちが墨書で署名するようだったら、自分も人並に墨書する方がいいと思ったからである。
指先の出血はまだ十分とまっていず、くるんだ紙が真赤にぬれていた。彼はもう一枚新しい紙をそのうえに巻きつけながら、窓ぎわによって、ふかぶかと夜の空気を吸った。空には無数の星が宝石のように微風にゆられていた。彼はそれを眺めているうちに、自分が血書をしたためたことが、何か遠い世界につながる神秘的な意義があるような気がし出し、昼間馬田にそれを野蛮だと非難された時、どうして反駁が出来なかったのだろう、と不思議に思った。
興奮からさめるにつれて、心地よいつかれが彼の全身を襲って来た。彼は窓によりかかったまま、ついうとうととなっていた。すると、
「次郎、蚊がつきはしないか。」
と、いつの間に上って来たのか、俊亮がすぐまえにつっ立ってじっと彼の顔を見おろしていた。
次郎は、はっとして机の上に眼をやったが、もう自分のやったことをかくすわけにはいかなかった。