후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
五月には廓で菖蒲を栽えたという噂が箕輪の若い衆たちの間にも珍らしそうに伝えられたが、十吉は行って見ようとも思わなかった。
五月のなかごろから暗い日がつづいた。箕輪田圃では蛙がやかましく鳴き出した。十吉の家を取り巻いた蓮池には青い葉が一面に浮き出して来て、ここでも蛙が毎日鳴いた。
「蛙がたくさん鳴く年には梅雨がたくさん降る」
お時が言った通り、ことしの梅雨は雨の量が多かった。
ここらの藁屋根が腐るほどに毎日降った。陽というものがまるで失くなってしまったのではないというしるしに、時どきうすい影を投げることもあるが、それは忽ち暗い雲の袖に隠れてしまった。
「阿母さん。よく降るねえ」
十吉は縁側から空を仰いで、つくづく飽き果てたように言った。五月末の夏の日も小やみのない雨に早く暮れて、古い家の隅ずみには藪蚊が人をおどすように唸っていた。
「あんまり雨が降るので、きのうも今日もお米坊が見えないね」
「むむ」と、十吉はなんだかきまりの悪いような返事をしていた。お米と十吉とはゆくゆく夫婦にするつもりで、お時も承知、お米の親たちも承知しているのであった。お米の噂が出ると、年の若い十吉はいつも顔を赤くしていた。