후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
「ねえ、花ちゃん。向柳原はまったく頼もしいね。家を勘当されても、浪人しても、蛇とあたしと一緒に暮らしていたいと言うんだからね。あたしも今夜という今夜つくづく悟ったよ。女がほんとうに可愛いと思う男は、一生にたった一人しか見付からないもんだね。どう考えても浮気はできない。花ちゃん。お前、なんだってあたしをこんな所へ連れて来たんだえ。ええ、くやしい」
彼女はお花の膝にしがみ付いたかと思うと、更にその胸倉をつかんで無暗に小突きまわした。相手が酔っているので、お花はどうすることも出来なかった。女中たちはおどろいて燭台を片寄せた。
「手に負えねえ女だ」と、千次郎は持てあましたように苦笑いをしていた。
「姐さん。あやまった、あやまった。堪忍、堪忍……」
お花は小突かれながら頻りにあやまると、お絹は相手を突き放してすっくと起ちあがった。乱れた髪は黒い幕のように彼女の蒼い顔をとざして、そのあいだから物凄い二つの眼ばかりが草隠れの蛇のように光っていた。
「あたし、もう帰りますよ。誰がこんな所にいるもんか。駕籠を呼んでくださいよ」
八
向島を出たお絹の駕籠は四つ(午後十時)頃に、向柳原の杉浦家の門前におろされた。