후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
お絹は古い門柱へ倒れるように倚りかかって、熱い息をふいていると、真っ暗な屋敷の奥では火の廻りの柝の音がきざむように遠く響いて、どこかの草の中からがちゃがちゃ虫の声もきこえた。
やがて潜り門の錠をあける音がからめいて、暗い中から林之助の白い姿が浮き出した。林之助は白地の寝衣を着ていた。
「林さん」
声をかけて寄ろうとするお絹を、男は押し戻すようにして門の外へ出た。ふたりは長屋の窓下を流れている小さい溝のふちに立った。溝の石垣のなかに、こおろぎがさびしく鳴いていた。
「おい、どうしたんだ。今時分こんなところへやって来て……」と、林之助は小声で叱るように言った。
「お前さんに逢いたくって……」
「馬鹿」と、林之助はまた叱った。
武家奉公の林之助が両国の蛇つかいに馴染みがあるなどということは、もちろん秘密にしなければならない。どんなことがあっても屋敷へ訪ねて来てはならないと、かねて固く言い含めてあるのに、夜中だしぬけに御門を叩いて自分をよび出しに来るとは、あんまり遠慮がなさ過ぎると、林之助は呆れて腹が立った。
「どうで馬鹿ですから堪忍してください。あたし、今夜はどうしてもお前さんに逢いたくって、逢いたくって……」