후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
お里は茶をいれて、振出しの箱のなかから金平糖などを出した。
「それでもよくいらして下さいましたね」
お里は嬉しそうに言った。おふくろは近所に百万遍があって、あかりが点くとすぐに出て行ったから、四つ過ぎでなければ帰るまいとのことであった。
相手が迷惑そうな顔を見せないので、林之助も腰を落ち着けてゆっくりと話しはじめた。しかしこういう家へふらりと遊びに来て、先方の茶や菓子を食って唯べらべらとしゃべっているほどの野暮でもないので、林之助は鮓でも取ろうと言った。ついでに酒を買って貰いたいといって、幾らかの銀を出した。
「降るのに気の毒だね」
「なに、隣りの子に頼みますから」
隣りの女の子に使いをたのんで、お里は鉄瓶の下に炭をついだ。小降りにはなったらしいが、雨はまだしょぼしょぼと降っていた。百万遍の鉦らしいのが雨の中にきれぎれに聞えた。
「秋の雨はなんだか陰気で寂しゅうございます」と、お里は錦絵の花魁を貼ったうしろの壁を見かえりながら言った。
自分はいったい陰気な質であるが、こういう日にはなんだか引き入れられるように気が滅入って、自然に悲しくなるなどと話した。きょうの花火がお流れになって、お前ばかりでない、みんなも陰気な顔をしているだろうなどと、林之助も言った。