후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
頭を垂れているので、その顔の色は読めなかった。
それでも栄之丞は素直であった。素直というよりもむしろ男らしいというのかも知れないが、もうこの上は、何を言うのも無駄であると彼は考えた。野獣の怒ったような次郎左衛門を相手にして、いつまでとやこうと言い争っても果てしがない。ここで女の薄情を責めても始まらない。こういう不快な、そうして危険な場所からは、ちっとも早く立ち退いてしまった方が無事であると考えた。
むこうで帰れというのをしおに、栄之丞はおとなしく挨拶して起ちかかると、次郎左衛門は紙入れから一両を十枚出した。
「おい。さっき聴いていりゃあ、十両の金が要るとかいって、八橋に無心を言っていたようだったね。さあ、十両はおれがやる。その代りに八橋の起請を置いて行くがいい」
ここで持っていないと言うのは余り卑怯だと思って、栄之丞は掛守から女の起請を取り出した。彼はせめてもの腹癒せに、次郎左衛門の眼の前でずたずたに引き裂いて見せた。
芝居のようなこの場は、これで終った。
栄之丞は黙って起ち上がると、次郎左衛門はうしろから声をかけた。
「おい、栄之丞さん。この金を持って行かねえのか」