후리가나로 읽는 일본 고전
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しせい
消えた受賞作 直木賞編
富田 常雄
富田 常雄의 消えた受賞作 直木賞編(しせい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 17,806자 · 36화면
怒りもせず、驚きもせず、それが自分の勤めだとも、運命だとも感じている様子で、わしの、肉が落ち、骨ぼねしくなった体を、滑らかな未だ育ち切らぬ白い体で支えたものであった。
元来、わしは世に言う好色だとは思って居らぬ。いつであったか、なにがしという赤新聞が強請に来て、記者の態度があまりに面白くなかったので断りを言ったら、「政界の狒々爺」という題で、あること無いことを書いて居たが、しかし、今日までに五六人の妾をたくわえたに過ぎず、妻が亡くなってから、わしの身の廻わりの世話をした女は七年の間に三人きりしかなく、その新聞が書きたてた様に、お撫りと称して、十六七のうら若い娘を次々に犯して行ったなぞとは、あられもない嘘であった。
全く従順で、わしが知っている娘のなかで陰日向のない忠実さを示したものは奈世を措いて他には無かった。笑いもせず、泣きもせず、口数もきかず、わしが咳をすれば吐月峯を、眼鏡をはずせば、すぐ目脂を拭く手帛をといった風によく気がついた。散歩から帰って、わしが横になり、出してくれた籐の枕に頭をのせ、
「奈世、疲れたよ」
と、言う。
「はい」
答えると一緒に、奈世は夏でも脱がぬ白足袋をぬぎにかかり、うつ伏せになったわしの蹠に上手に両足で乗って、交互にゆっくりと踏み始める。