후리가나로 읽는 일본 고전
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しせい
消えた受賞作 直木賞編
富田 常雄
富田 常雄의 消えた受賞作 直木賞編(しせい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 17,806자 · 36화면
わしは飛石に強く下駄を鳴らした。
「いやな娘だ」
そう呟いた時、はっとして、わしは石の上に立ちどまった。
密通して居たればこそ、わしが巣鴨から帰って、始めて顔を合わせた時、奈世は良心に恥じて顔を赫らめたのだ。そして、若者と二人の時には面を脱いで居たのであろう。
わしは、ことごとく不快になり、杉山の帰りの挨拶も聞き流しにして、火鉢に手をかざし続けた。悲しくはない。わしの感情は干からびて涙なぞはないのかも知れなかったが、併し、白ちゃけた淋しさはあった。
婆やの、荒々しく戸棚から布団を落す音が、ぼとん、ぼとんと隣室からきこえて来る。奈世はあんな、もの音は立てなかった。わしは水洟をすすり、炭をつぎ足すために炭取りに手をのばす。婆やが夜具を落す音が、重く心にのしかかって来た。