후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
きつね
狐
山本 周五郎
山本 周五郎의 狐(きつね)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 8,471자 · 17화면
ごく仲のいい男がその番士から話を聞いた、それからつぎの男、つぎの男という風に、なん人もその話を聞き、自分で天守へためしにいってみた。なにかしらみんな妖しいことに遭った、うめきごえを聞いた者もある、まっ暗な宙に白い異様なものがひらひら舞うのを見た者もある、ぞっとするような笑いごえを聞いた者もあった。みんなそれぞれ違う怪異を経験したが、誰もが一致して聞いたのは階段の跫音だった、それだけは例外なしに経験していた。
みしり……みしり……みしり。
落ちついた、ゆっくりした、そっと忍んでゆく跫音だった。こちらが登ってゆくと跫音はおりてゆく、こちらがおりてみると跫音は登ってゆくのである。たしかに妖怪のしわざだと云う者もあり、亡霊にちがいないと云う者もあった。半年ほどまえに、やはり天守番だったひとりの若侍が、つまらぬ過失を苦にやんで自殺したことがある、まだ朝々の霜のふかいじぶんで、かれは天守閣の北がわの石垣の下でみごとに切腹していた、死体の衣服に白く霜が凍っていたことを、そのとき駈けつけた同僚たちははっきり覚えている。亡霊だと主張する人々はその自殺した若侍のことを指摘して、かれの亡魂が天守番をしに来るのだと云った。