후리가나로 읽는 일본 고전
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ことひら
琴平
宮本 百合子
宮本 百合子의 琴平(ことひら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 3,637자 · 8화면
できき知った町の名である。町を見る間もなく船にのりこみ、多度津につくやいなやバスにつみこまれ、琴平の大鳥居の下へついたときには、かなりの雨になった。
番傘を、下から煽る風にふき上げられまいと母の上にかざして何百段かの石段をのぼりつめたとき、更に高い本殿まで昇って椽側に腰をおろしたとき、私のこころは憤りでふるえるようであった。子を無事にかえしてほしいと思う母親、許婚の命があるようにと願う若い女。本殿のところに腰かけてみていれば、降りそぼつ雨にうたれて、お百度をふんでいる人さえある。せまい陰気な雨の境内は人ごみで雑踏し、賽銭をなげる音がし、祈祷の声がする。切ない心で諸国から集ったこれらの人々が、みんなあの幾百段をのぼって来ている。信仰の勿体なさを深くするため、印象づけるため、すべての流行する信仰建築は、きっとこういう途中の難関を計算に入れている。善光寺の山門までの長い単調な爪先のぼりの道中は何のためだろう。いじらしい人間の心を食い、無事息災をいのる心でたつきを立てるならば、せめて、年よりの足にたやすい方便を考えてもよいだろう。こういう願かけに、義弟の尊い生命の安危をたくしかねる私の心は、素朴な憤りにふるえた。