후리가나로 읽는 일본 고전
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うまれいずるなやみ
生まれいずる悩み
有島 武郎
有島 武郎의 生まれいずる悩み(うまれいずるなやみ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 50,587자 · 100화면
はるか向こうを見ると山から木材や薪炭を積みおろして来た馬橇がちらほらと動いていて、馬の首につけられた鈴の音がさえた響きをたててかすかに聞こえて来る。それは漂浪の人がはるかに故郷の空を望んだ時のようななつかしい感じを与える。その消え入るような、さびしい、さえた音がことになつかしい。不思議な誘惑の世界から突然現世に帰った人のように、君の心はまだ夢ごこちで、芸術の世界と現実の世界との淡々しい境界線をたどっているのだ。そして君は歩きつづける。
いつのまにか君は町に帰って例の調剤所の小さな部屋で、友だちのKと向き合っている。Kは君のスケッチ帳を興奮した目つきでかしこここ見返している。
「寒かったろう」
とKが言う。君はまだほんとうに自分に帰り切らないような顔つきで、
「うむ。‥‥寒くはなかった。‥‥その線の鈍っているのは寒かったからではないんだ」
と答える。
「鈍っていはしない。君がすっかり何もかも忘れてしまって、駆けまわるように鉛筆をつかった様子がよく見えるよ。きょうのはみんな非常に僕の気に入ったよ。君も少しは満足したろう」
「実際の山の形にくらべて見たまえ。‥‥僕は親父にも兄貴にもすまない」