후리가나로 읽는 일본 고전
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しろあり
白蟻
小栗 虫太郎
小栗 虫太郎의 白蟻(しろあり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 54,099자 · 106화면
一、二つの変貌と人瘤
そして、絶えずその神秘の中に分けて入ってゆくような蠢惑を感じていて、その一片でも征服するごとに、いつも勝ち誇ったような、気持になるのが常であった。しかし、その疑惑の渦が、しだいと拡がるにつれて、やがては、悪病も孤独も――寂寥も何もかも、この地峡におけるいっさいのものが、妙に不安定な、一つの空気を作り上げてしまうのだった。
一、二つの変貌と人瘤
八月十六日――その日は、早朝からこの地峡の上層を、真白な薄雲が一面に覆うているので、空気は少しも微がうとはせず、それは肢体に浸み渡らんばかりの蒸し暑さだった。それでも正午頃になると、八ヶ岳の裾の方から雲が割れてきて、弾左谿の上空にはところどころ碧空が覗かれたが、まもなく、さうして片方に寄り重なった雲には、しだいに薄気味悪い墨色が加わってきた。そして、その一団の密雲は、ちょうど渓谷の対岸辺りを縁にして、除々と西北の方角に動きはじめたのであったが、そのうち、いやにぬくもりを含んだ風が、峰から吹き下りて来たかと思うと、やがて轟々たる反響が、広い地峡の中を揺ぶりはじめた。しかしその雲も、小法師岳寄りの側になると、よほど薄らいでいて、時折太い雨脚が一つ二つ見えるという程度だったけれども、葉末の中ははや黄昏ていて、その暗がりのなかで絶えず黄ばんだ光りが瞬いていた。