후리가나로 읽는 일본 고전
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わたしのちち
私の父
堺 利彦
堺 利彦의 私の父(わたしのちち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 5,750자 · 12화면
私はそれらが堪らんほどつらい。私としては、餅の一片なり、飯の一塊まりなり食わせてやりたい。しかしそれは父から禁じられていた。そんな癖をつけると、いつかその犬が内の犬になってしもうて困る、と言うのであった。貧乏士族の生活としては、犬一疋の食い料も問題であったに相違ない。だから私も勿論、犬を飼おうとは言わない。また必ずしも毎度飯をやろうとは言わない。そこで私は父と協定して、犬のお客のあった時には糠を一にぎりだけやることにしていた。ところが、それすらも父はあまり喜ばなかった。思うに父は、糠一にぎりを惜しんだわけではなく、犬の愛に溺れそうな傾きのある私の性情を危ぶんだのだろう。しかし父も、毎晩の食事時に必ずやって来る習慣になっていた隣家の犬に対しては、黒、黒と言って、鰯の頭など投げやっていた。
しかし私はまた、深く父の寛大に感じていることがある。ある時、私の家に東京の親類から「鶴の子」という結構な菓子の箱が送られて来た。一つだけ貰って食った時、おそろしくうまかった。その後も欲しくて堪らないが、なかなか貰えない。あんな結構な物をムザムザ食うものではないと言って、父はそれを部屋の高い棚に上げてしまった。