후리가나로 읽는 일본 고전
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わたしのちち
私の父
堺 利彦
堺 利彦의 私の父(わたしのちち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 5,750자 · 12화면
私の覚えている父は既に五十であった。髪の毛などは既にやや薄くなっていたように思う。「何さよ気分に変りは無いのじゃがなア」などと、若やいだようなことを言うていることもあったが、何しろ私の目には既に老人であった。名は堺得司。
父の顔にはかなり多く疱瘡の跡があった。いわゆるジャモクエであった。しかしその顔立ちは尋常で、むしろ品のよい方であった。体格は小柄で、しかも痩せぎすであった。サムライのたしなみとしては、剣術よりも多く柔術をやったらしい。弓も少しは引いたらしい。喘息持ちでずいぶん永く寝ていることもあったが、ズット年を取ってからは直っていた。そういう体質上、力わざはあまりしなかったが、元来が器用なたちで、よく大工の真似をやっていた。大工道具はすっかり揃っていて、棚を釣る、ひさしを拵えるくらいのことは、人手を借らずにズンズンやっていた。
学問はない方の人で、四書の素読くらいはやったのだろうが、ついぞ漢学なり国学なりの話をしたことがなかった。ただ俳諧は大ぶん熱心で、後には立机を許されて有竹庵眠雲宗匠になっていた。『風俗文選』などいう本をわざわざ東京から取寄せて、幾らか俳文をひねくったりしたこともあった。