후리가나로 읽는 일본 고전
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けいば
競馬
織田 作之助
織田 作之助의 競馬(けいば)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 12,134자 · 24화면
挽馬場の馬の気配も見ず、予想表も持たず、ニュースも聴かず、一つの競走が済んで次の競走の馬券発売の窓口がコトリと木の音を立ててあくと、何のためらいもなく誰よりも先きに、一番! と手をさし込むのだった。
何番が売れているのかと、人気を調べるために窓口へ寄っていた人々は、余裕綽々とした寺田の買い方にふと小憎らしくなった顔を見上げるのだったが、そんな時寺田の眼は苛々と燃えて急に挑み掛るようだった。何かしら思い詰めているのか放心して仮面のような虚しさに蒼ざめていた顔が、瞬間カッと血の色を泛べて、ただごとでない激しさであった。
迷いもせず一途に1の数字を追うて行く買い方は、行き当りばったりに思案を変えて行く人々の狂気を遠くはなれていたわけだが、しかし取り乱さぬその冷静さがかえって普通でなく、度の過ぎた潔癖症の果てが狂気に通ずるように、頑なその一途さはふと常規を外れていたかも知れない。寺田が1の数字を追い続けたのも、実はなくなった細君が一代という名であったからだ。
寺田は細君の生きている間競馬場へ足を向けたことは一度もなかった。寺田は京都生れで、中学校も京都A中、高等学校も三高、京都帝大の史学科を出ると母校のA中の歴史の教師になったという男にあり勝ちな、小心な律義者で、病毒に感染することを惧れたのと遊興費が惜しくて、