일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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かつしかみやげ

荷風随筆集(上)

永井 荷風

永井 荷風의 荷風随筆集(上)(かつしかみやげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 133,224자 · 269화면

아오조라 문고

私たちは水際を廻って崖の方へ通ずる小径を攀登って行くと、大木の根方に爺が一人腰をかけて釣道具に駄菓子やパンなどを売っている。機を見るに敏なるこの親爺の商法にさすがのわれわれも聊か敬服して、その前に立止ったついで、猫塚の所在を尋ねると、爺さんは既に案内者然たる調子で、崖の彼方なる森蔭の小径を教え、なお猫塚といっても今は僅にかけた石の台を残すばかりだという事まで委しく話してくれた。

名所古蹟は何処に限らず行って見れば大抵こんなものかと思うようなつまらぬものである。唯その処まで尋ね到る間の道筋や周囲の光景及びそれに附随する感情等によって他日話の種となすに足るべき興味が繋がれるのである。有馬の猫塚は釣道具を売っている爺さんが話したよりも、来て見れば更につまらない石のかけらに過ぎなかった。果してそれが猫塚の台石であったか否かも甚だ不明な位であった。私たちは旧造兵廠の建物の一部をば眼下に低く見下す崖地の一角に、昼なお暗く天を蔽うた老樹の根方と、また深く雑草に埋められた崖の中腹に一ツ二ツ落ち転げている石を見つけたばかりである。しかしここに来るまでの崖の小径と周囲の光景とは遺憾なく私ら二人を喜ばしめた。