후리가나로 읽는 일본 고전
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かつしかみやげ
荷風随筆集(上)
永井 荷風
永井 荷風의 荷風随筆集(上)(かつしかみやげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 133,224자 · 269화면
ほど心持よく、倉の間から聞える長唄の三味線に聞取れた事がある。
歌は若い娘の声、絃は高音を入れた連奏である。この音楽があったために倉続きの横町の景色が生きて来たものか、あるいは横町の景色が自分の空想を刺※していたために長唄がかくも心持よく聞かれたのか、今ではいずれとも断言する事はできない。真正の音楽狂はワグネルの音楽をばオペラの舞台的装置を取除いて聴く事をかえって喜ぶ。しかしそれとは全然性質を異にする三味線はいわば極めて原始的な単純なもので、決して楽器の音色からのみでは純然たる音楽的幻想を起させる力を持っていない。それ故日本の音楽にはいつも周囲の情景がその音楽的効果の上に欠くべからざる必要を生ぜしめるのはやむをえぬ事であろう。
その日は照り続いた八月の日盛りの事で、限りもなく晴渡った青空の藍色は滴り落つるが如くに濃く、乾いて汚れた倉の屋根の上に高く広がっていた。横町は真直なようでも不規則に迂曲っていて、片側に続いた倉庫の戸口からは何れも裏手の桟橋から下る堀割の水の面が丁度洞穴の中から外を覗いたように、暗い倉の中を透してギラギラ輝って見える。荒布の前掛を締めた荷揚の人足が水に臨んだ倉の戸口に蹲踞んで凉んでいると、往来際には荷車の馬が鬣を垂して眼を細くし、蠅の群れを追払う元気もないようにじっとしている。