후리가나로 읽는 일본 고전
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しょうたく
荷風随筆集(下)〔全2冊〕
永井 荷風
永井 荷風의 荷風随筆集(下)〔全2冊〕(しょうたく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 36,633자 · 74화면
わたしはしばしば家を移したが、その度ごとに梔子一株を携え運んで庭に植える。啻に花を賞するがためばかりではない。その実を採って、わたしは草稿の罫紙を摺る顔料となすからである。梔子の実の赤く熟して裂け破れんとする時はその年の冬も至日に近い時節になるのである。傾きやすき冬日の庭に塒を急ぐ小禽の声を聞きつつ梔子の実を摘み、寒夜孤燈の下に凍ゆる手先を焙りながら破れた土鍋にこれを煮る時のいいがたき情趣は、その汁を絞って摺った原稿罫紙に筆を執る時の心に比して遥に清絶であろう。一は全く無心の間事である。一は雕虫の苦、推敲の難、しばしば人をして長大息を漏らさしむるが故である。
今秋不思議にも災禍を免れたわが家の庭に冬は早くも音ずれた。筆を擱いてたまたま窓外を見れば半庭の斜陽に、熟したる梔子燃るが如く、人の来って摘むのを待っている……。
大正十二年癸亥十一月稿