후리가나로 읽는 일본 고전
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しょうたく
荷風随筆集(下)〔全2冊〕
永井 荷風
永井 荷風의 荷風随筆集(下)〔全2冊〕(しょうたく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 36,633자 · 74화면
この娘と連立って安宅蔵の通を一ツ目に出て、両国橋をわたり、和泉橋際で別れ、わたくしはそれから一人とぼとぼ柳原から神田を通り過ぎて番町の親の家へ、音のしないように裏門から忍び込むのであった。
毎夜連れ立って、ふけそめる本所の町、寺と倉庫の多い寂しい道を行く時、案外暖く、月のいい晩もあった。溝川の小橋をわたりながら、鳴き過る雁の影を見送ることもあった。犬に吠えられたり、怪しげな男に後をつけられて、二人ともども息を切って走ったこともあった。道端に荷をおろしている食物売の灯を見つけ、汁粉、鍋焼饂飩に空腹をいやし、大福餅や焼芋に懐手をあたためながら、両国橋をわたるのは殆毎夜のことであった。しかしわたくしたち二人、二十一、二の男に十六、七の娘が更け渡る夜の寒さと寂しさとに、おのずから身を摺り寄せながら行くにもかかわらず、唯の一度も巡査に見咎められたことがなかった。今日、その事を思返すだけでも、明治時代と大正以後の世の中との相違が知られる。その頃の世の中には猜疑と羨怨の眼が今日ほど鋭くひかり輝いていなかったのである。
その夜、わたくしと娘とはいつものように、いつもの道を行こうとしたが、二足三足踏み出すが早いか、雪は忽ち下駄の歯にはさまる。