후리가나로 읽는 일본 고전
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むし
虫
江戸川 乱歩
江戸川 乱歩의 虫(むし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 44,053자 · 86화면
七
時に限って、彼女は態と帳場の車を避け、極まった様に、近くのある大通りの角まで歩いて、そこで通りすがりのタクシーを拾うことさえ、彼にはすっかり分っていた。実を云うと、それが分っていたからこそ、彼はあの変てこな、自動車のトリックを思いついた程であったのだから。
七
十一月のある一日、その日は朝から清々しく晴れ渡って、高台の窓からは、富士山の頭が、ハッキリ眺められる様な日和であったが、夜に入っても、肌寒いそよ風が渡って、空には梨地の星が、異様に鮮かにきらめいていた。
その夜の七時頃、柾木愛造の自動車は、二つの目玉を歓喜に輝かせ、爆音華やかに、彼の化物屋敷の門を辷り出し、人なき隅田堤を、吾妻橋の方角へと、一文字に快走した。運転台の柾木愛造も、軽やかにハンドルを握り、彼に似合わしからぬ口笛さえ吹き鳴らして、さもいそいそと嬉し相に見えた。
何という晴々とした夜、何という快活な彼のそぶり。あの恐ろしい犯罪への首途としては、余りにも似合わしからぬ陽気さではなかったか。だが、柾木の気持では、陰惨な人殺しに行くのではなくて、今彼は、十幾年も待ちこがれた、あこがれの花嫁御を、お迎いに出かけるのだった。