후리가나로 읽는 일본 고전
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くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 蜘蛛の夢(くものゆめ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 147,189자 · 298화면
何といっても士族のむすめであるから、行儀も好い、読み書きや針仕事も出来る。その上に容貌も好い。こういう身の上であるから、当人も努めて遠慮勝ちにしているのであろうが、人間も素直でおとなしい。これでは誰にも嫌われ憎まれよう筈はないので、お筆は溝口一家の人々からも可愛がられた。とりわけてお蝶は彼女と姉妹のように親しんでいた。
あまりに口のよくない抱え車夫の女房もお筆をほめていた。お銀は一番最初に彼女を見つけて声をかけたのが何かの因縁であるようにも思われて、ゆくゆくはあの娘をわが子の嫁になどとも内々かんがえていたのと、もう一つには不運のむすめに同情する女ごころで、時どきに半襟や襦袢の袖などを贈ることもあった。お筆はその親切をよろこんで、お銀の家へも親しく出入りをして、その家の用などを手伝ってやっていた。
こうして半年ばかりは無事に過ぎたが、あくる十四年の三月になって、溝口家にはまた一人の掛り人が殖えた。それは上林吉之助という青年で、溝口医師と同郷人であった。吉之助はことし二十一で、実家は農であるが相当に暮らしている。かれは次男で、医学修業のために上京したのであるが、うかつに下宿屋などに寄宿させるのは不安であるというので、吉之助の親許から万事の世話を溝口方へ頼んで来て、溝口もこころよくそれを引受けたのである。