후리가나로 읽는 일본 고전
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きんろう
金狼
久生 十蘭
久生 十蘭의 金狼(きんろう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 89,438자 · 179화면
いくらも貸してくれなかった。久我にみすぼらしい思いをさせまいと思って、毎日の生活は豊かすぎるくらいにやっていたので、みるみるうちにゆきづまっていった。葵の持ちものといっては、いま着ている古いアフタヌンだけになってしまった。
葵は部屋の隅の瓦斯煖炉のまえで新聞を読みながら朝食の仕度をしていた。
絲満南風太郎の殺人事件がいわゆる迷宮に入ってから、もう三ヵ月の余にもなる。新聞の三面はその後この事件を忘れていたが、昨日の夕刊から新しい展開にしたがって、また活発な報道をはじめていた。警視庁の捜査第一課はとうとう真犯人を袋小路へ追いつめてしまったようだ。〈那覇〉の前の空溝のなかから思いがけない手懸りが発見されたのである。浅草馬道の、松村という貸衣裳屋の保証金の受取証で、(金二十円他、薄鼠、クレープドシン、アフタヌン一着、保証金)と書いてあり、その裏に血痕と思われる拇指頭大の丸い褐色の汚点がついていた。クレープドシンか縮緬をかぶせた釦を、血溜りのなかから拾いあげてこの紙に包んだのにちがいない。釦の丸さなりにはっきりと布目がうつっているのである。鑑識課へ持ちこんで験べて見ると、果してそれは絲満の血だということが判った。