후리가나로 읽는 일본 고전
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わがまち
わが町
織田 作之助
織田 作之助의 わが町(わがまち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 25,869자 · 52화면
弐、大正
マニラは年中夏やさかい、金時(氷)や冷やし飴売っても結構商売になる。人間はお前、若い時はどこいなと遠いとこい出なあかんぜ。お初はわいが預ってやるさかい。」
そんな時、泣いて止める筈の女房が五年前に死んでいたのを倖い、無理矢理説き伏せて、マニラへ発たせた。
他吉は娘の初枝とふたりで神戸まで見送りに行ったが、「わいもこの船でいっしょに……」行きたい気持を我慢するのに、余程苦労した。その代り、銅鑼が鳴るまで、ベンゲットの話をし、なお、
「アメリカ人の客には頭を下げんでもええぞ。毎度おおけにと頭が下りかけたら、いまのベンゲットの話を想い出すんやで。歯抜きの辰に二円返しといてや。」
と、言った。
初枝は新世界の寄席へ雇われて、お茶子をした。
弐、大正
そこは貧乏たらしくごみごみとして、しかも不思議にうつりかわりの尠い、古手拭のように無気力な町であった。
角の果物屋は何代も果物屋をしていて、看板の字は主人にも読めぬくらい古びていた。酒屋は何十年もそこを動かなかった。銭湯も代替りしなかった。薬局もかわらなかった。よぼよぼの爺さんが未だに何十年か前の薬剤師の免状を店に飾って頓服を盛っているのだった。