후리가나로 읽는 일본 고전
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いちしょうにんとして
一商人として
相馬 愛蔵
相馬 愛蔵의 一商人として(いちしょうにんとして)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 114,895자 · 222화면
ところがその人夫は二十九人まで出来て、あともう一人が急のことで間に合わない。そこで金子氏が折入っての頼みで、私はそこへ顔だけ出すことになった。むろん何の役にも立ちはしない。大木の後に取りついて、大勢と一緒にヤーと掛け声をするだけで、日給三十銭也の分配に預ったのである。当時札幌では手不足のため、どんな無能の者でも顔さえ出せば三十銭から三十五銭の手当をもらえたもので、この臨時雇いを出面取りといっていた。すなわち面さえ出せばよかったのである。当時の三十銭は今日の二円くらいに当る。とにかく六十九歳の今日までに、私が人から給金をもらったのは、後にも前にもこの時の三十銭限りである。
郷里に帰って私は養蚕の研究をした。当時生糸の海外取引は非常な勢いで、年々増加するばかりであった。したがって養蚕は盛んで、これまで下々の下国といわれた信州も、養蚕でにわかに一王国を出現したかの観があった。しかし養蚕の方法に至っては、これに関する書もすでに百種くらい現れていたが、大同小異、特にこれはと敬服されるものもなかった。そして残念なことに私がこれらの書物によって教えられた養蚕は失敗が多く、期待していてくれる家人に対しても毎度面目ないことであった。