후리가나로 읽는 일본 고전
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,094자 · 411화면
これで幾らか差引きが付いたと、本多は用もないのに時々縁側に出て、障子をあけ放した隣り座敷を覗いていたこともあった。
その隣り座敷で俄かに騒ぎ始めたので、三人はそっと縁側へ出て窺うと、湯あがりの若い女達もやはり行儀をくずして何か夢中になってしゃべっていたらしい。その一人の白い脛へ蟹が突然に這いあがったので、みな飛び起きて騒ぎ出したのであった。もしやと思って、こっちのチャブ台の下をあらためると、本多のマッチの箱は空になっていた。彼はその箱をハンカチーフと一緒に押し込んで置いて、ついそのままに忘れていると、蟹は箱の中からどうしてか抜け出して、おそらく縁伝いに隣りへ這い込んだのであろう。そう判ってみると、本多はひどく恐縮して、もう一つにはそれを機会に隣りの女達と心安くなろうという目的もまじっていたらしく、彼はすぐに隣り座敷へ顔を出して、正直にその事情をうち明けて、自分たちの不注意を謝まった。その事情が判って、女達もみな笑い出した。
それが縁になって、臆面のない本多はとなりの女連れの身許や姓名などをだんだんに聞き出した。かれらは古屋為子、鮎沢元子、臼井柳子、児島亀江という東京の某女学校の生徒で、暑中休暇を利用してこの温泉場に来て、四人が六畳と四畳半の二間を借りて殆んど自炊同様の生活をしているのであった。