후리가나로 읽는 일본 고전
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,094자 · 411화면
「風呂場のようだね。」
風呂場には隣りの女ふたりがはいっていることを知っているので、一種の不安を感じた遠泉君はすぐに飛び起きて蚊帳を出た。本多もつづいて出た。二人はまず風呂場の方へ駈けてゆくと、一人の女が風呂のあがり場に倒れていた。風呂の中にはなんにも見えなかった。ともかくも水を飲ませてその女を介抱しているうちに、その声を聞きつけて宿の男や女もここへ駈け付けて来た。
女は表二階に滞在している某官吏の細君であった。この人も混雑を嫌って、正午ごろに一度、夜なかに一度、他の浴客の少ない時刻を見はからって入浴するのを例としていた。今夜はいつもよりも少しおくれて丁度二時を聞いたころに風呂場へ来ると、湯のなかに二人の若い女の首が浮いていた。自分と同じように夜ふけに入浴している人達だと思って、別に怪しみもしないで彼女も浴衣をぬいだ。そうして、湯風呂の前に進み寄った一刹那に、二つの首は突然消えてしまったので、彼女は気を失う程におどろいて倒れた。
ゆうべの田宮の話が思い出されて、遠泉君はなんだか忌な心持になった。しかし本多はそれが迷信でも化け物でもない、自分のとなり座敷の女ふたりが確かに入浴していたに相違ないと言った。